「君の膵臓をたべたい」

作品概要

「君の膵臓をたべたい」は、住野よるの小説を原作にした日本の映画作品です。主演は北村匠海さんと浜辺美波さんが務め、2017年に公開されました。青春ラブストーリーという要素に加え、舞台が現代の日本にありつつも、病気を抱えた少女が生きることへの意味を見出していく姿を描いたヒューマンドラマとなっています。

“自分が初めて恋をした相手の死期が迫っていることを知り、それでも恋をする”。物語は、「僕」という男子高校生が、自分が拾った“ある日記”をきっかけに、全く話すことのなかった同級生・山内桜良と知り合い、彼女の書いた日記の内容を通じて2人が急接近していく様子を描きます。

本作を観る前の私は、青春映画にありがちな男女が恋に落ちる展開を期待していました。しかし、実際に観てみると、思いもよらない展開に心を揺さぶられました。

特筆すべきは、主演の北村匠海さんと浜辺美波さんの演技力です。2人が抜群に相性がよく、それぞれの個性が光る演技によって、物語に感情移入することができました。初めは身勝手だと思わせる桜良の言動が、本当に大切なものを知り、前に進もうとするその姿には、思わず涙が出そうになりました。

また、映像も見事で、物語の背景となる風景や季節感がとても美しく描かれていました。音楽も、物語を盛り立てる効果的な役割を果たしていました。

ただ、物語には独自の世界観があるものの、映画としての完成度はまだまだ足りないように感じました。作品全体に均等に深みがあるわけではなく、後半には予定調和的すぎるラストも感じられました。

「君の膵臓をたべたい」は、青春映画としては一風変わった展開と、それぞれのキャラクターの魅力、美しい映像や音楽が特徴の作品です。ただ、全体的に浅い部分もあり、完璧とは言えないと感じました。