ストーリー
本作は、正義を求めながらも日々に絶望し、狂気に陥っていくアーサー・フレックスを描いた物語である。
アーサーは、身体的・心理的虐待を受けながらも笑いの才能を持つクラウンとして働いていたが、経済的な理由により職を失い、世の中の不条理に苦しむ中でジョーカーに変貌していく。
演技
主演のホアキン・フェニックスは、アーサーの内面の苦しみや変貌を見事に演じきっている。とりわけ、踊りのシーンなどでの狂気に満ちた表情や、ジョーカーとしての自信や醜悪なまでの自己愛を表現する場面は圧巻であった。
また、アーサーを取り巻く人々の演技も光り、彼らが抱える個々の問題や苦悩も深く描かれている。
映像美
本作は、1980年代のニューヨークを思わせる重苦しく暗い雰囲気を演出している。特に、アーサーが幼い頃に住んでいたアパートのシーンなどは、建物の薄暗さや音楽などが相まって、息苦しさを伝えてくるような印象的なシーンであった。
総評
「ジョーカー」は、正義や善悪、不条理について考えさせられる作品である。特に、アーサーによって引き起こされる暴動などを描いた後半には、一筋縄ではいかない複雑な思考を呼び起こされることだろう。
加えて、フェニックスの見事な演技や、物語を盛り上げる音楽、美しい映像美など、映画作りの細かい部分にも力が入っている点において、本作は見る価値がある作品であると言える。
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