『天気の子』-人間らしさを問う映像的中編-

ストーリー

主人公・森嶋帆高は、家族の不仲に苦しみながらも、とある夏の日に大雨に見舞われる。彼が見た夢と重なるように、突如として雨が止み、空が晴れた。それから始まった、夜になると雨が止まず、一日中晴れる夕暮れの風景には異様な雰囲気が漂い始める。そんな中、帆高は運命的に出会った女の子・天野陽菜と青山ミツルと共に天候の異変に立ち向かっていく。

レビュー

『君の名は。』から3年。新海誠監督の最新作・『天気の子』も、映画の一幕一幕から新海ワールドが凝り固まっている。雨と晴れが入れ替わりの激しい映像美とともに伝わってくる、人々の悲しみや寂しさ。運命的に出会った主人公・帆高と陽菜の切ないラブストーリーは、もちろん私たちを胸キュンさせるが、全体的なストーリーのテーマは、人間らしさを問い掛けるエッセンスがある。

人間らしさを大切にする主人公・帆高そして陽菜、彼ら二人は自分たちの人生を取り戻すため、それぞれ自分が一番向いていることを見つける。人々との葛藤、自分自身との葛藤。それぞれのキャラクターがどのように変化していくのか、その過程には心打たれる場面が盛り沢山ある。

そして、綴られる映像美。煌めく屋台、路地裏の風景、東京タワー、そして光と影の入り混じる港。どのシーンも撮影する者の心を鷲掴みする描写・演出が垣間見える。新海誠監督の力量は計り知れない。彼の独自の世界観を追求する姿勢は、映画の素晴らしさを今一度、再確認させてくれた作品だ。

おわりに

新海誠監督の最新作・『天気の子』。レトロな歌にのせた劇中歌や、展開のスピード感など、『君の名は。』が持っていた魅力を全て受け継いでいる。多様な人間模様を描き出しながら、私たちに大切なことを問いかける映画。新海ワールドを存分に堪能できる、圧倒的な映像美を楽しめる傑作である。


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