映画「カサブランカ」のレビュー

あらすじ

1942年、第二次世界大戦中のカサブランカ。元妻イルザが再び彼の前に現れ、共闘を求める反ナチ運動家の夫ビクター・ラズロを隠すように頼まれた元外交官リックは、自分が愛するイルザとの過去を思い出すことになる。

主演のハンフリー・ボガートは、クールでカリスマ的な雰囲気を持ち合わせた俳優であり、リックを見事に演じきっている。また、イルザ役のイングリッド・バーグマンも、演技力の高さを見せ、恋人を愛し、夫を敬愛する複雑な感情を表現している。バーグマンの美しさも、見る者の目を引くとともに、物語に深みを与えている。

「カサブランカ」は、戦時下において、愛と信念をテーマとしたストーリーが展開される。リックがイルザとの再会を機に、愛と義務、そして自らの信念と向き合うことになる。ナチスを相手に、自らの立場を危うくすることを恐れたリックが決断する前に、物語は奇妙なタイムリミットの下で進む。

撮影はモノクロで行われ、映画の雰囲気を際立たせている。シンプルな設定や突き放した構図が、物語の緊張感を増大させ、映画の印象をより深刻なものにした。また、風景や装置の細部にまで凝った演出が、暗い物語に色を与えている。

「カサブランカ」は、音楽や演技、ストーリー、撮影のすべてが緻密に作り上げられた、映画史に残る名作である。愛と義務という普遍的なテーマが表現され、嫌いな人がいないほど幅広い層に観られるものとなっている。戦争とかけ離れた静かな場所で、静かで重要な映画をぜひご覧いただきたい。