ジョーカーのレビュー

あらすじ

舞台は1980年代のゴッサムシティ。アーサー・フレックスは、フランクという元同僚から拳銃を貸してもらうために、病院に行くことにする。ところが、そこでテレビで自分がタレント番組で笑い者にされている映像を目にし、さらに手品師たちから暴行される。絶望的な彼は、自分を理解してくれるクラウン鉄工所のアイドル、マレー・フランシスの番組に生出演してあくび大放送し、それが大ウケして有名になることを夢見るようになる。しかし、ある日マレーに招かれて出演するものの、彼のネタについて面白くない発言をしたために観客から大ブーイングを受ける。その後、アーサーはフランス人女性ソフィーと出会い、肉親から突如追われることになる。

感想

本作は、演技派俳優ホアキン・フェニックスがアカデミー賞主演男優賞を受賞した、壮絶な人生を描いた作品です。ゴッサムシティの非常識な世界観を表現するために、監督トッド・フィリップスは背景には生煮えの赤い色を使い、トンネルには灰色のつや消しの石を貼り付けるなど、画面構成も重視しています。

また、物語は徐々に主人公の精神状態が悪化していく様子が描かれており、フェニックスは痛々しいほどの演技力でアーサーの心の闇を表現しています。彼の突然の発作やフランシスに向けるマイクパフォーマンスは、誰もがアーサーに同情することになるでしょう。

結論

本作は、人生がうまくいかない一個人として生きる喜び、また、自己実現のための努力を行う苦しみ、そして、他者への憤りをあざ笑うような社会状況を描いた強烈な映画です。フェニックスの驚くべき演技と、監督の実験的な画面構成は、観客に深い感銘を与え、今後の映画製作の方向性を変える可能性があると言われています。必見の作品です。