『君の膵臓をたべたい』レビュー

ストーリー概要

『君の膵臓をたべたい』は、住野よるによる同名小説を原作とした青春恋愛映画である。主人公の男子高校生“僕”と、共働きで忙しい母親との間に生まれた女子高校生・さくらとのエピソードを描いた作品である。

ある日、健康優良児だった“僕”は、学校の教室で拾った手帳を通じて、仲良くなったさくらが膵臓癌に侵されていることを知る。その後、“僕”はさくらを見守り、共に笑い、泣き、葛藤する中で惹かれあっていく。

本作には、多くの印象的なシーンや演出が含まれている。

例えば、体育祭で繰り広げられる、さくらが走り抜けるエピソード。客観的には上手くいかないように見える場面も、彼女の視点で描かれることによって、見事に努力と感動を表現している。

また、中でも印象に残ったシーンは、さくらと“僕”が過ごした夜景のシーンであった。語られる言葉は少なかったが、“僕”とさくらの間に流れる空気感や、静かな雰囲気が情感的にも印象的であった。

本作のメインキャストは、北村匠海氏（“僕”）と浜辺美波氏（さくら）である。

北村匠海氏は、“僕”という役柄に対して、心を閉ざしてしまった青年の内面を緻密に演じきっている。逆に、浜辺美波氏は、表情豊かに、さくらの体験や感情を深く表現している。

『君の膵臓をたべたい』は、青春恋愛映画の代表作の一つで、原作小説の深い感情表現を大切にしていることがわかる。本作を見ることで、観客は、健康や生命が普通に与えられたありがたみに気づかされるだけでなく、自分と向き合うことによって、生きる意味や人生の尊さを感じることができるのではないだろうか。