「羊と鋼の森」レビュー

ストーリー

「羊と鋼の森」は、ピアニストの父を持つ少年・雨音くんが、祖父であり暮らす宮間島での夏休みを通じて、ピアノ調律師の養成学校での学びを経験しながら、成長していく姿を描いた作品です。

印象

原作の雰囲気を丁寧に表現した美しい映像と、随所に散りばめられた音楽が、物語に深みと感情を与えていると感じました。

また、主人公の雨音くんをはじめ、周囲の人物たちにそれぞれの物語があるように感じます。それぞれの心情に触れながら、奏でられる音楽の美しさも心に残りました。

演出

柴崎コウ監督は、「青空エール」や「植物図鑑」などの作品で独特な映像美を表現することで知られていますが、本作品でもその特徴的な映像表現が随所に見られました。特に、海辺や森、舞台などの背景描写が目を引きました。

総評

「羊と鋼の森」は、人物描写や音楽表現に注目すると、細部まで緻密に作り込まれた作品だと感じます。「琴浦さん」や、「君と100回目の恋」などの恋愛物語が人気のある映画ですが、この作品はピアノや調律という、あまり表立って描かれることのないテーマを取り上げている点が新鮮でした。

音楽やピアノに詳しくない人でも、美しい音楽とともに描かれる人々の葛藤や成長を感じられる、心に響く作品だと思います。