背景
『ジョーカー』は、1970年代のニューヨークを舞台に、犯罪に走る男アーサー・フレックを描いたサイコスリラー映画である。監督はトッド・フィリップス、主演はホアキン・フェニックスが務めた。第76回ヴェネツィア国際映画祭において、金獅子賞を受賞し、全世界の観客から高い評価を受けた。
ストーリー
アーサーは、口が裂けたような笑い声を出す奇妙な一面を持つクラウンダンサーである。彼は障害を持つ母親と共に暮らしており、生活費を稼ぐため、クラウンダンサーとして路上でパフォーマンスをする。しかし、日々の暮らしは厳しく、上司からは嫌がらせを受け、治安の悪化したニューヨークの街で、次第に彼自身も犯罪に手を染めていく。
演技
ホアキン・フェニックスは、役柄に完璧に没頭しており、アーサーが抱える複雑な感情や心境の変化を見事に演じきっている。とりわけ、クライマックスのシーンでは、圧巻の演技を披露している。また、彼が細やかに表現するアーサーの奇妙さや不安定さには、観客の緊張感が高まる。
映像
作品の舞台となるニューヨークは、1970年代らしい陰鬱な雰囲気が描かれており、全体的に映像が暗めに仕上げられている。また、クラウンダンスのパフォーマンスシーンなどは、色彩感覚が鮮やかで美しい映像美が印象的である。
総評
『ジョーカー』は、演技や映像、ストーリーともに非常に高水準の作品であり、フィリップス監督とフェニックスの組み合わせは、まさに現代映画の金字塔と言える。主人公の狂気と悲哀が描かれたディープな物語は、一度見たら忘れられない印象を与える作品である。
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