映画「ジョーカー」レビュー

あらすじ

ニューヨークのゴッサムシティを舞台にした本作は、ある日突然、笑い声を出す癖がある男アーサー・フレックを主人公に、その心の闇を描いたサスペンスドラマである。アーサーは、風変わりな笑い屋の仕事をしていたものの、母と2人暮らしで、ストレスや孤独感から次第に精神的に追い詰められていく。彼の過去が徐々に明らかになってくる中、彼は自分自身を取り戻すことができるのか――。

感想

本作は、ジョーカーという名前から想像されるような、爆発的なアクションや濃密な世界観を期待される方には物足りないかもしれない。しかし、アーサーに対する心理描写が深く、彼が次第に精神的に追い詰められていく描写は圧巻である。また、ポップコーン映画にありがちな「善悪二元論的な世界観」を排して、現実の社会問題や人間の本性を正面から取り扱っている点が魅力的である。

特に印象的だったのは、アーサーを演じたフィニックスの演技である。空っぽな笑顔や、心の深部にある闇を感じさせる表情は、まさに現代のジョーカー像を熱演している。また、映像的にも、ニューヨークの治安の悪い街を舞台に、暗い色あいで構成されたシーンが映し出され、物語の印象をより深く刻み込む。

本作は、ジョーカーの起源を描く映画として、彼の過去に光を当てるものである。物語の展開やストーリーは非常に深く、現代社会の問題点や暴力に対する問いかけなど、多岐にわたるテーマが盛り込まれている。これまでのジョーカー像とは一線を画す、「ジョーカーの真の姿」といった趣を感じさせる作品である。

以上が、映画「ジョーカー」の私の感想です。