『天気の子』感想

ストーリー

『天気の子』は、主人公の高校生・森嶋帆高が、東京で偶然出会った雨女・天野陽菜との交流を通じて、互いに内に秘めた心の傷を癒やしていく姿を描いたファンタジー・ラブストーリーである。

物語の舞台は、《雨女》や《晴れ女》たちが自然現象をコントロールする“天気の力”を有するとされる異界《天界》と、人々が生活する《現界》の二つの世界が並立する現代日本である。陽菜は、常に雨を引き起こしてしまう雨女。帆高は、家族を失った過去のトラウマから、自らの存在の意味や人生の行方に悩みを抱えている。

そんな中、陽菜が“天気の力”に翻弄され、帆高もまた、自分の『願い』が“天気の力”によって現実になることを知る。二人は心を通わせ、互いに支え合いながら、天候の荒波を乗り越えていく。

まず、映像美が圧巻であることが挙げられる。ストーリー内で描かれる雨の表現は、まるでリアルタイムで雨を見つめているかのような臨場感とともに、美しく繊細なものである。また、陽菜や帆高たちの心の動きを、雨の粒や雲の形などで表現する手法が使われることも多く、その映像に圧倒された。

二つめは、音楽の作り込みが素晴らしい点である。劇中で流れる音楽により、ストーリーに深みが加わり、感情移入がより深いものとなっている。

最後に、主人公たちの青春が描かれた“成長物語”としての魅力も挙げておきたい。陽菜や帆高たちは、物語の中でそれぞれのトラウマや過去に向き合い、自分自身を成長させていく。その姿勢は、視聴者にも刺激を与えてくれる。

『天気の子』は、美しく感動的な作品である。映像美・音楽・ストーリーと、全てが非常に高い水準で表現されている。是非、多くの人に観ていただきたい作品である。