ストーリー
日本に上陸した不明生物が、急速に成長して巨大な怪獣・ゴジラとなって暴れ始める。政府はパンデミック対策を取りながらゴジラへの対策を練り上げるが、混乱する政府内部や日本の枠組みに捉われた対応は、次々と現れるゴジラの脅威に立ち向かうことができず、絶望的な状況に陥っていく。
感想
本作は、現代社会が抱える問題とそれに対する現実的な対応策を生き生きと描いた、現代版のゴジラ映画といえるでしょう。シン・ゴジラは、直感や勘を頼りに行動する昔ながらのヒーロー物語から脱却し、政府や専門家、市民がそれぞれの立場で、最大限の力を尽くし、危機に立ち向かうさまを描きます。また、政治家や大企業といった富裕層をことごとく風刺し、さらには日本人に対する批判的な視点をも取り入れ、リアルな状況に人々が陥ったときの行動や考えを描いた作品になっています。
映像
CGで描かれたゴジラは、モーションキャプチャー技術を使い、リアルかつ迫真的な動きを実現しています。また、都市の封鎖や内閣官房クリスタルなど、現代のインフラストラクチャーとともに描かれる細部まで緻密に描き込まれた映画の世界観は、圧倒的な迫力があります。映像だけでも十分楽しめ、合間に見られるCGのモニターっぽいフレーム調のテロップが、映像の臨場感を加速させる役割を果たしています。
音楽
広瀬量平氏による音楽は、まさに本作の世界観にぴったりです。クラシックや軽快なジャズ、電子音楽など、多彩なジャンルの音楽が劇中で使用されますが、どれも緻密で、映像に寄り添うように鳴っています。また、過去の映画やテレビドラマとオマージュを込めた音楽もあり、ファンならニヤリとするシーンもあったでしょう。
まとめ
社会問題から政治家や大企業に対する風刺、現代社会のインフラストラクチャー、そして映像や音楽の力を駆使した至極の作品。本作は、ゴジラファンだけでなく、現代映画が抱えるべき課題を直視しなければならない一本となっています。
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