『ジョーカー』のレビュー

ストーリー

本作は、バットマンの宿敵ジョーカーの誕生を描いたサイコサスペンス映画である。主人公アーサーは、元々は道路工事現場で働く係として生活していた。しかし、自分の夢を追い求める中で、次第に周囲の人々に拒絶され、孤立していく。さらに、病的な笑い癖や過去のトラウマも抱えていたアーサーは、ある事件をきっかけに、彼自身もジョーカーとしての本能を開花させてしまう。

演出

ダークナイトトリロジーなどを手掛けたトッド・フィリップスが監督を務め、物語に合わせた独特の美学を構築している。カメラワークや色彩表現において、アーサーの心情や周囲の状況をうまく表現している。また、音楽も印象的であり、アーサーがジョーカーとして成長するシーンでは、エピックで壮大な楽曲が流れ、より興奮や感情移入が高まる演出となっている。

演技

主役のアーサーを演じたホアキン・フェニックスは、見事な演技力を発揮している。アーサーの内面の葛藤や苦しさを表現するために、体重を激減させ、演技に没頭したという。その結果、彼の表情や動作からは、アーサーの心情が滲み出ているように見える。また、キャスティングも素晴らしく、他の俳優陣も演技力を十分に発揮している。

評価

本作は、ジョーカーの誕生に焦点を当て、その過程におけるアーサーの変化を描いた、暗く、緊張感に満ちた傑作と言える。特に、ホアキン・フェニックスの演技が素晴らしく、アカデミー賞を含む多くの賞を受賞したことも納得できる出来となっている。一方で、暴力的な描写が多いため、未成年者の鑑賞には注意が必要である。