映画「君の名は。」レビュー

あらすじ

田舎町に住む少女・三葉と、東京に住む少年・瀧は、ある日突然、入れ替わりの夢を見るようになる。次第に夢の中で意思疎通ができるようになった二人は、互いに交換する生活に馴染んでいく。しかし、「彼女」という言葉が重要な鍵を握ることが分かり、二人は「君の名は。」という言葉をきっかけに運命的な旅路に出る。

本作は、監督・新海誠氏によるアニメーション映画であり、2016年に公開された。東京と田舎町を舞台に、入れ替わりの夢を見る二人の乙女チックな恋愛物語と思われがちだが、その実は宇宙的なスケールと、まさに「君の名は。」という言葉の重みが物語を背負っている傑作作品である。

一見、青春ラブコメディのようでありながら、異世界との接点を描き出す映像のビジュアル面や、顕微鏡で見る生命の美しさを描き出す描写の巧さなど、全体的に非常に緻密で魅力的な作品に仕上がっている。

音楽もRADWIMPSによるイメージソングが劇中に多用され、物語の重要なシーンに華を添えている。とりわけ、ラストシーンのファンファーレは映像に合わせて張り詰めるように昇華し、見終わった後もしばらく余韻が残る。

全般的に、青春を描いた映画でありながら、多様なテーマを抱え、思春期を送る人々に必見の作品となっている。

本作は、異世界と現実のつながりを描き、ある一日をめぐる物語を通じて人間の心の美しさや、世界のすばらしさを表現している。音楽も映像も見事で、青春や思春期の人々には見逃せない傑作である。