あらすじ
主人公の僕は、おとなしくマイペースな高校生。ある日、病院の書庫で、同級生・山内桜良の投薬記録付き日記を見つける。そこには、彼女が余命わずかであることが書かれていた。桜良が治療と向き合う姿勢に惹かれる一方で、自らが酷似する症状を感じ、彼女との距離を縮めることを恐れる。しかし、桜良から「君、私の秘密知ってるから」という言葉がきっかけで、事態は急展開していく。
感想
本作は、病気を扱った青春映画だが、陥りがちな陳腐な表現方法には陥っていない。セリフ回しやカット割りの巧みさが、観る者を引き込む。とりわけ、主人公の心理描写が秀逸で、彼自身が調査すること、書こうとすること、そこから逃げることなど、11月の上旬から下旬の約1か月間を描写し、鮮やかに時間の経過を表現している。衣装やシーンの心理描写も充実しており、登場人物たちが主張する思想が軈て説得力を帯びている。
結末
桜良が死に逝く結末にも、作者は陳腐な言葉を使っておらず、逆に淡々と表現することで見る者の共感を呼んでいる。そして、最後は主人公自身の精神の成長や、成長を抑える原因をブレーキから解放する描写など、どこか希望をもって切り描いている。
まとめ
本作は、病気を扱った青春映画にもかかわらず、全体的に陳腐に陥ることなく、主人公の胸中や登場人物たちの思想・精神までしっかりと映し出すことで、高い評価を得る作品となっている。観る人を希望に導くものである。
コメントを残す