作品紹介
「ジョーカー」は、DCコミックの人気キャラクターであるバットマンの宿敵・ジョーカーの起源を描いたダークで壮絶な物語である。主演のホアキン・フェニックスが演じるジョーカーは、社会に対する狂気に満ちあふれ、誰もが彼を追い詰める状況に陥る中で、彼の誕生とともに織りなされる。
ストーリー
物語は、雇われ花火職人であるアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)が、日常的な差別や悪意など、社会問題に苦しむ中で、壊れゆく彼の心を描く。彼は次第に、モデルであるコメディアンのマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)に憧れ、自分もコメディアンになろうとするが、うまくいかない。職場でいじめられ、母親とともに住むアパートも古く汚い。そんな中、彼は7人のヤクザを乗り込んだ地下鉄で、自分たちをからかう3人の若者を射殺してしまう。彼の暴力行為が拍車をかけ、次第に社会が彼に敵対的になっていく。最終的に彼は、自分を誕生させたトーマス・ウェインに向かって街中で暴動を引き起こす。
映像
映像はダークで、哀愁が漂う雰囲気に仕上がっている。照明や撮影技術が巧みに使われており、物語には深い重みがある。また、アーサーがジョーカーへと変貌していくシーンは、ドキュメンタリータッチで、人間味があり、見応えがある。
演技
ホアキン・フェニックスは、本作で圧倒的な演技力を見せた。彼はアーサーが変貌する過程で、最初は病的なニュアンスを感じさせながら、最終的にはジョーカーの狂気に満ちた姿を華麗に演じきった。また、ロバート・デ・ニーロ、ゾジャ・ムメ、フランシス・コンロイらの演技も光っていた。
総評
「ジョーカー」は、社会問題やメンタルヘルスについて、深く考えさせられる作品である。また、バットマンというキャラクターや、その世界観を知る者にとっては、新たな見方を提示してくれる。ホアキン・フェニックスの演技も、再びオスカーの可能性が高まった。強烈な印象を残す作品である。
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