映画「ジョーカー」のレビュー

ストーリー

「ジョーカー」は、ハムナプトラ王女が封印された古代エジプトを舞台にしたアドベンチャー映画ではありません。むしろ、主人公のアーサー・フレック(演:ホアキン・フェニックス)が、身体的、心理的苦痛に苦しんでいる人物像を描いたサスペンス映画と言えます。アーサーは、仕事を通じて地位も収入も認められず、母親の介護や、治療に必要な薬剤代を稼ぐために、なってしまったクラウンや、新しく出たトークショーのお笑いコンクールに出場するも、周りから冷たくあしらわれ、精神的に追い詰められていきます。そんな中、周囲から疎まれながらも、彼の才能を見出して活躍するようになったトークショーホスト、マレー・フランケンが、アーサーにORM(ジョーカー)に扮してトークショーに出演するように誘います。それから、いろんなことが起こりはじめます。

演出/映像

監督のトッド・フィリップスが、ダークナイト三部作を手がけたクリストファー・ノーランの古典的な映像を尊重しながら、広角で撮影したり、映像全体を黄色や茶色などの暗いトーンに振るため、徹底的な夜のSOONや必要のない都市部のチープな暮らしぶりを表現しています。

音楽

映画音楽の職人、ハンス・ジマーが、ほとんど荒々さを感じられない鋭い音楽を書き、映画に対して深い音楽的意味があるようなだけでなく、彼独特の音楽様式も見事に生かしています。

キャスト

「ジョーカー」といえば、ヒース・レジャーのイメージが根強いかもしれませんが、今作では、ホアキン・フェニックスが、自分の演出でアーサーを描いており、演技は確実にハイレベルといえます。ロバート・デ・ニーロ演じるマレー・フランケンや、アーサーの母親を演じるフランシス・コンロイ、CDC役のブレット・カレンがアーサーに扮している意図については、ある種の果たし合いが目立つようで、いくつかのシーンで笑えるほどのスリルを味わえます。

総評

正直に言います。この映画は、心を重くする悲しみを伴う作品であり、たとえグロテスクで怖い場面でも、ホアキン・フェニックスが演じる主人公の狂気に惹かれること間違いなしの映画です。観る前に、理由を考えたくなることもあるかもしれませんが、その理由が観終わった後に、自分を変える良い機会になります。


投稿日

カテゴリー:

投稿者:

タグ:

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です