映画『ジョーカー』レビュー

ストーリー

本作は、バットマンの宿敵ジョーカーの誕生秘話を描いた社会派サスペンス。

主人公のアーサーは、ヒースリー画廊でクラウンを着た広告看板を持つ仕事をしている。彼は自分自身が喜劇的な存在であることを信じており、コメディアンになることを夢見ている。しかし、彼は生活の中で重い病気、貧困、虐待などに苦しんでいる。ある日、アーサーは職場でのトラブルから暴動事件に巻き込まれ、そこで人生に対する転機を迎える。

演技

主演のホアキン・フェニックスが見事にアーサー/ジョーカーを演じきり、自身の感情や怒りを内面化した表情や言葉、動きで表現している。特に、ジョーカーとしての洗練されたスタイルと恐怖を感じさせる心理描写が印象的だ。

映像美

全編を通して、明暗の対比や赤と青の色彩表現などの芸術的な映像美が印象的だ。また、撮影地であるニューヨーク市の雰囲気やストリートシーンが巧みに取り入れられ、リアリティある世界観を作り上げている。

音楽

作曲家のハンス・ジマーが手がけた劇中音楽は、物語の感情とテーマに対し、重厚感のあるオーケストラアレンジで迫力あるサウンドトラックを提供している。特にジョーカーが最後のシーンでダンスする場面での音楽とのコラボレーションは圧巻。

感想

本作は、ヒット作の彩りを枯らしたスーパーヒーロー映画の中で、独自の存在感を放つ社会派映画として必見だ。弱者たちの苦しみや、社会の不条理を語りかける内容でありながら、監督のトッド・フィリップスの手腕により、エンターテイメント性も高く、一度観たら忘れられない印象的な作品に仕上がっている。