映画『ジョーカー』のレビュー

物語

『ジョーカー』は、DCコミックスのスーパーヴィラン「ジョーカー」を題材とした映画作品である。本作の主人公は、凶暴性を持つアーサー・フレック（ジョアキン・フェニックス）である。アーサーは、社会から孤立している中で、母親との共同生活や仕事、そして精神疾患に苦しんでいる。ある日、職場でトラブルに巻き込まれたアーサーは、徐々に破滅的な事件に巻き込まれていく。

演技

ジョアキン・フェニックスが、アーサーという役を見事に演じている。アーサーが持つ狂気や途方もない孤独感は、時に共感させ、時に恐怖を与える。フェニックスは、アーサーが持つ極度の精神的苦痛と苦しみを、ちりばめるように演技していて、圧倒的な存在感を放っている。

映像

本作の映像は、暗く陰鬱な雰囲気を表現していて、アーサーが身を置く世界観に合っている。また、映像を通してアーサーの感情や思考の変化を表現する手法が多用されており、観客に物語に引き込まれるように作られている。

音楽

本作の音楽は、シンセサイザーを多く用いたダークで荒々しいサウンドトラックである。音楽は、映像と相まって作品全体に陰鬱な世界観を与え、アーサーの心象風景に一層深みを加えている。

総評

『ジョーカー』は、『ダークナイト』シリーズなどの従来のジョーカーとは異なる解釈がされているため、コミックファンからの評価は分かれるだろう。しかし、アーサーの内面を浮き彫りにした本作は、ヒーローとは対極に立つ存在たる「スーパーヴィラン」を映し出している。ジョアキン・フェニックスの演技や、映像・音楽など、芸術性が高く、見所の多い作品である。ただ、映画全体が非常に陰鬱で暗いため、観る際には心の準備が必要だ。