「ジョーカー」のレビュー

ストーリー

ジョーカーの写真

本作「ジョーカー」は、バットマンシリーズに登場する悪役「ジョーカー」の誕生秘話を描いたサイコサスペンス映画である。

主人公のアーサーは、シングルマザーと暮らすヒトモドキで、イベント会社に勤めながら、夢であるコメディアンになることを目指していた。しかし、彼は人間関係がうまくいかず、心の病を抱えている。

ある事件をきっかけに、アーサーはジョーカーとして活動するようになる。彼が犯す残虐な行為とともに、社会の不満や格差、暴力の横行など、現代社会に対する深いメッセージが随所に描かれたストーリー展開となっている。

主演のジョアキン・フェニックスは、アーサー/ジョーカーを表現するために、体重を落とし、異様な身体表現を見せている。彼の演技は圧巻であり、アカデミー賞を受賞するほどのクオリティである。また、共演するロバート・デ・ニーロやジョン・キャンディなどの名優たちの存在も素晴らしい。

ダークで陰鬱なニューヨークの街並みや、アーサーの行動を取り巻く不穏な空気など、映像の美しさは際立っている。映画全体に黄色みがかった色彩が用いられ、独特の世界観を醸し出している。

音楽は、演出面でも効果的に使われており、リンピ・ビスケット、フランク・シナトラ、ゲイリー・グリッターなど、挿入曲も素晴らしい。特に、アーサーがジョーカーとして活動を始める場面で流れるクロシアの「Rock and Roll Part 2」は、圧巻の演出であった。

「ジョーカー」は、暴力や狂気を描いた作品であるが、現代社会に向けた深いメッセージが含まれている。演技や映像、音楽もクオリティが高く、見応えのある作品となっている。しかし、年齢制限があるため、18歳未満の観客は注意が必要である。