「シリアスマン」のレビュー

映画概要

「シリアスマン」は、1990年代のニューヨークを舞台に、法律事務所で働く弁護士ラリー・グローバーマン（マイケル・ドゥグラス）が巻き込まれる事件を描いたブラックコメディ映画である。監督はコーエン兄弟。

ラリーは離婚協議中で、妻は彼の弟アーサー（リチャード・ジェンキンス）に会いに出かけてしまい、一方、彼は自身が担当する事件にも頭を悩ませていた。そんな中、ラリーが抱える問題はいよいよ深刻化する。

顧客だった富豪が不慮の事故で亡くなり、彼の遺産を相続した彼の孫娘が、遺産の相続に反対する男たちに脅される。ラリーは彼女を救うために奮闘するが、結局のところ状況は悪化するばかりであった。

マイケル・ドゥグラスが演じるラリーは、とても面白いキャラクターである。普段は冷静な弁護士の彼が、事件に巻き込まれていく過程で徐々にパニックを起こすところなど、コメディエンヌとしての才能を発揮している。

また、リチャード・ジェンキンスのアーサー役も秀逸で、彼の落ち着いた演技が、ラリーのパニックに対してのコントラストを際立たせている。

「シリアスマン」は、コーエン兄弟ならではのブラックコメディとして、非常に高い評価を受けている。冒頭から終盤まで、見るものを飽きさせないストーリー展開や、マイケル・ドゥグラスが演じるラリーのコメディタッチの演技が、観客を笑わせてくれる。

加えて、ゆるやかなテンポで進む映画の中で、何気ない風景や小道具などが随所に見られ、観る者を思わず映画世界に引きこむ力がある。誰しもが「あるある」と思えるようなシーンや、思わずクスッと笑ってしまうようなギャグも随所に散りばめられている。

「シリアスマン」は、コーエン兄弟が描く独特な世界観と、マイケル・ドゥグラスのコメディエンヌとしての演技が光る一本である。ブラックコメディが好きな方や、法律ドラマを見慣れた方には新しい発見があると思われる。皆さんもぜひ一度、観てみてはいかがだろうか。