映画「ジョーカー」レビュー

ストーリー

本作は、完全オリジナルのバットマンの悪役「ジョーカー」の新たな起源を描いたストーリーとなっている。

主人公のアーサー・フレック役を演じるのは、オスカー俳優のホアキン・フェニックス。アーサーは、ハチャメチャなゴッサム・シティという街で、クラウン社という大企業で働く下積み営業マンである。彼は、精神的に不安定であり、過去にトラウマを経験したことから、摂食障害や他人との関わりに苦しんでいた。

ある日、アーサーは職場でのいじめに耐えかね、クビになってしまう。その後、家賃滞納やセラピーの受診費用など、生活に関するトラブルが重なり、徐々に立ち行かなくなっていく。

そんな中、アーサーは自分を助けてくれる唯一の人物である、コメディアンのマレイ・フランクリンに憧れを抱き、自分もコメディアンになろうと思い立つ。しかし、人々に笑われることで自分の存在価値を見出す中で、彼は「ジョーカー」としての本当の自分を見つけ出していくのであった。

演出・映像

本作の演出や映像は、冒頭から徐々に荒々しさを増していく。とくに最後に向けての緩急のつけ方は見事であり、見るものを一瞬たりとも退屈させない。

また、暗闇や色調を駆使した映像が印象的で、ゴッサム・シティの暗さや混沌を表現している。また、ジョーカーが自分自身に向けて突き出す銃を手元に持つ姿など、潔癖症や強迫観念などの精神疾患を抱える彼の内面を鮮やかに表現していた。

キャスト・演技

ホアキン・フェニックスの演技は、本作の大きな見どころとなっている。彼は役作りのために18kgも体重を減らし、アーサー・フレックという人物を非常に熱演している。

表情や身振り手振り、そして口笛などの細かい演技も際立っており、常に視聴者を引き込む存在感を放っていた。また、彼が演じるアーサーがジョーカーに変貌する過程も見事で、心理的な描写にも観る者を圧倒させる。

そのほかのキャスト陣も、個性的な役どころを演じていた。特に、ロバート・デ・ニーロが演じるマレイは、スタントキャストからコメディアン、そしてテレビの司会者まで演じるという多彩な役柄をこなしていた。

評価

本作は、過激な暴力描写や社会問題への批判が含まれているため、物議を醸した作品の1つである。しかし、その一方で、現代社会に問題意識がある観客を中心に、高い評価を得ることも多い。

ストーリー・演出・映像・演技、すべてにおいて見事な完成度を見せている本作は、独自の新しいバットマン・ワールドを描いたとして、大きな期待を集めていた。その期待に見事に応えた傑作であると言えるだろう。


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