映画『ジョーカー』のレビュー

ストーリーの概要

『ジョーカー』は、DCコミックスのキャラクター、バットマンの宿敵であるジョーカーのオリジンストーリーを描いたサイコロジカルドラマである。

物語は、舞台を1981年のゴッサムシティに設定し、ジョーカーの本名はアーサー・フレックというフリーランスのピエロだった。彼は、精神的に脆弱な人格であり、それにより社会から疎まれる存在となる。彼は職を失い、母親と2人で住んでいる狭いアパートで生活している。

そんなある日、アーサーは地下鉄で暴行被害者に遭遇し、自分自身を守るために彼を射殺してしまう。その事件がキッカケとなり、彼の暴走は加速していく。

本作の映像美は圧巻だ。監督のトッド・フィリップスは、漆黒のゴッサムシティを舞台に世界観を再構築し、映画ではほとんど描かれない夜の町並みを美しく描き出している。

また、本作の色彩は非常に冷たく、人工的な雰囲気が漂っている。そのため、本作の世界観は非常に陰惨である。

主演俳優のホアキン・フェニックスは、アカデミー賞俳優と呼ぶにふさわしい他の好演を披露している。彼はアーサー・フレックの内面を熟知し、驚異的な表現力でその複雑な感情を表現している。

彼の演技は、詩的で、時にはフランス映画の様な静謐さを漂わせる。物語の展開において、彼が演じるジョーカーは非常に悪魔的なキャラクターに変化するが、彼の演技力によってその過程が非常に自然に描かれている。

『ジョーカー』は、強い社会的意志を持ち合わせており、観客を深い感情に陥れるドラマである。本作は暴力描写があるため、18歳未満の観客には不適切である。ただし、映画のクオリティは非常に高いため、観賞に値すると感じる。