ジョーカー -JOKER-

成り上がりの物語の裏側を描いた、衝撃の一作

「ジョーカー」は、差別や貧困に苦しむアーサー・フレックが、ハリウッドのテレビ番組に出演するためのコメディアンを夢見ていた少年から、成り上がりの物語の裏側を描いた作品です。主人公のアーサー・フレックは、自らの人生が壊滅的な状況であることを受け入れ、狂気に捕らわれながらも、最終的にはジョーカーとして、ゴッサムシティに暴動を引き起こします。

この作品で最も印象的な点は、主人公のアーサー・フレックの人物像です。アーサーは、人間のダークな部分を表しています。彼は、人々が忘れてしまった社会的階層に属する一人で、自らの内面にある狂気に囚われた人物であることを自覚しています。そして、彼のこうした行動や人間性は、ハリウッドのコメディエンヌを捉えるための欠陥や切実な痛みと相続します。

この映画は、観客を想像以上に引き込むような一作です。観客は、アーサーに同情して、彼の行動を非難されたり、見くびられたりすることになります。また、アーサー自身が何を求めているか、何に苦しんでいるか、どのようにして彼がジョーカーになったのかを理解する機会にもなります。

この作品は、2019年のトロント国際映画祭の上映でも話題になり、世界中で高い評価を受けています。また、ジョアキン・フェニックスの演技も高く評価されており、アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞するなど、その功績が認められています。

本作は、ジョーカーという知られた悪役が、どのように創造され、現代の社会において何を示唆するのかを描いた意欲作です。その思考実験としての部分も魅力の一つです。まさに、見逃せない一本です。