映画「ジョーカー」のレビュー

ストーリー

「ジョーカー」は、そこにいる誰もが歪んだ人間関係や暴力、そして周囲からの理解の欠落に苦しんでいるアーサー・フレックス（演：ホアキン・フェニックス）が、社会から完全に転落し、クレイジーで危険な悪役「ジョーカー」となるまでの過程を描いた作品。

彼は家族や恋人から理解されず、また自身がコメディアンでありながら誰とも共感することのできない孤独感から、自分自身に引きずり込まれ、常に妄想に浸っている状態に陥ってしまいます。

そんな中、舞台のオーディションで馬鹿にされ、ブチ切れて面倒を見ていた母親を殺害してしまいます。ここから、彼は自分が作り上げていた理想の姿「ジョーカー」として、混沌とした世界に一人立ち向かうようになります。

ホアキン・フェニックス演じるアーサーは、陰鬱で哀愁を感じさせる演技に加え、理性を失っていく過程での奇妙な身振り、そしてジョーカーとしての最後の完成形に至る鋭い演技力が光ります。

また、脚本・演出も巧みであったことから、フェニックスの実演以上にアーサーとジョーカーが二人の別の役者によって演じられたような錯覚を覚えるほどの緻密な作品となっています。

映画の雰囲気をより深く印象付けるのは、緻密な映像です。観客が演出に引き込まれるために施される芸術的な特殊効果や、時代を表す和風なビルの内装など、さまざまな視覚的な要素が見事に組み合わされています。

本作は、主題として暴力や人間不信などの心理的影響力、そして社会の暗い面を明らかにし、明確な見どころがある作品となっています。

ホアキン・フェニックスの挑戦的な演技や、演出、美術、音楽、映像など、すべてが完璧に調和している人間ドラマとアクション作品として、今後の映画製作の指針となる作品の一つであることは間違いありません。